目標1 あらゆる場所のあらゆる形態の貧困を終わらせる
貧困とは
貧困には「絶対的貧困」と「相対的貧困」があります。
SDGsで用いられている貧困は「絶対的貧困」です。
1日1.90ドル未満で暮らす状態のことをいいます。
世界の貧困率1990年では36%で、貧困層は18億9500万人いました。
2015年には貧困率は10%で、貧困層は7億3600万人に減少しました。
減少したとはいえ、世界の1割の人が、1日あたり200円強で生活していることになります。
この金額では住むところはもちろん、食事や教育まで十分にまかなうことはできません。
日本に住む私達にとって、目の前の課題として捉えにくい状況です。
だからこそ、重要な目標なのだといえます。
子ども達の貧困
ユニセフ(国連児童基金)と世界銀行グループによると、極度の貧困の中で暮らす子どもの割合は、同じ状態のおとなの割合の2倍になるそうです。
2013年、開発途上国の子どもたちの19.5%が1人1日平均1.90米ドル未満の家庭で暮らしており、おとなの9.2%を上回っていることが明らかにされています。世界的には、約3億8,500万人ちかくの子どもたちがそうした極度の貧困下に暮らしています。
(ユニセフHPより)
子ども達の貧困は何世代にも渡り、負のサイクルが繰り返される可能性があります。
貧困というのは誰にとっても厳しいものでしょう。
特に子ども達にとって大きな影響を与えます。
貧困の中で生きる子ども達の日常生活(World Vision HPより)
貧困をなくすために
全世界で貧困をなくす方法を考え、実践しているのにもかかわらずゼロにはなっていません。
このことを考えると簡単なことではありません。
考えられる事として、資金の援助が考えられます。
お金は一時的に貧困状態を解消することができるかもしれません。
しかし、SDGsの「持続可能」を考えると、一時的なものではなく、将来にわたり貧困状態を解消する循環の仕組みが必要です。
その仕組みを全世界の人々の知恵でつくる必要があるのです。
日本人の6人に1人が貧困
「日本で貧困率が高くなってきている」というニュースを耳にします。
この場合の貧困率とは「相対的貧困率」のことを言っています。
相対的貧困率とは「世帯の所得がその国の等価可処分所得の中央値の半分に満たない人々」と定義されています。
その国の文化や生活水準と比較して困窮した状態を指しているのです。
日本の相対的貧困率は2016年に15.7%となっています。2012年の16.1%よりは減少しているものの、高い数字です。
子どもの貧困率に限ると13.9%となっており、7人に1人が貧困だということです。(平成28年国民生活基礎調査)また、ひとり親の場合の貧困率は50%を超えるそうです。
これは日本における問題です。
日本の貧困問題というのは絶対的貧困とは異なるものです。
しかし、どちらも「答えのない課題」であることは共通しています。
日本の貧困を自分のこととして認識することは、絶対的貧困を自分の問題として捉えることにつながるはずです。
そして、日本の貧困か絶対的貧困を解決できれば、他方も解決へと導くことができるはずです。
SDGsの目標1を解決するためにも、日本の貧困に取り組んでいくことも必要であると考えます。
目標1のターゲット
1.1 2030年までに、現在1日1.25ドル未満で生活する人々と定義されている極度の貧困をあらゆる場所で終わらせる。
1.2 2030年までに、各国定義によるあらゆる次元の貧困状態にある、すべての年齢の男性、女性、子どもの割合を半減させる。
1.3 各国において最低限の基準を含む適切な社会保護制度及び対策を実施し、2030年までに貧困層及び脆弱層に対し十分な保護を達成する。
1.4 2030年までに、貧困層及び脆弱層をはじめ、すべての男性及び女性が、基礎的サービスへのアクセス、土地及びその他の形態の財産に対する所有権と管理権限、相続財産、天然資源、適切な新技術、マイクロファイナンスを含む金融サービスに加え、経済的資源についても平等な権利を持つことができるように確保する。
1.5 2030年までに、貧困層や脆弱な状況にある人々の強靱性(レジリエンス)を構築し、気候変動に関連する極端な気象現象やその他の経済、社会、環境的ショックや災害に暴露や脆弱性を軽減する。
1.a あらゆる次元での貧困を終わらせるための計画や政策を実施するべく、後発開発途上国をはじめとする開発途上国に対して適切かつ予測可能な手段を講じるため、開発協力の強化などを通じて、さまざまな供給源からの相当量の資源の動員を確保する。
1.b 貧困撲滅のための行動への投資拡大を支援するため、国、地域及び国際レベルで、貧困層やジェンダーに配慮した開発戦略に基づいた適正な政策的枠組みを構築する。