生徒に一人一台のパソコンを整備した、未来の学校は変わります。
いわゆる「教員」は必要なくなります。
コンピュータで全て事足ります。
教員の私にとって、恐ろしい話です。
でも、そんな未来がすぐそこまできています。
と考えている私の妄想(?)です。
- 学校の在り方は過渡期にある
- 予備校の授業が動画に【東進衛星予備校】
- 通信制高校が増える【N高】
- 大学がキャンパスを持たない時代【ミネルバ大学】
- 「ISAs(所得分配契約)」を採用した学校が開校【LABOT】
- 隙間時間にスマホを使い、お勉強【スタディサプリ】
- YouTubeの教育系番組
- 授業の質が高いのは?
- 未来の学校とは
学校の在り方は過渡期にある
世の中が、学校に対して求めている質は高まり、量も多くなっています。
少子化と保護者の高学歴化も関わりがあるのかもしれません。
社会から学校は多くのことを求められています。
学習活動はもちろん、しつけや規範意識、マナーや部活動(スポーツ・文化活動)そして進路実現まで多岐に渡ります。
一方で、部活動の時間は制限されてきています。
教員も「働き方改革」が求められているのです。
教員の「変形労働時間制」なども具体的に進みつつあります。
「教育はどこに向かっていくのか?」
と私は考えていたとき
「生徒に一人一台のパソコンを整備する」
と政府は表明しました。
しかし、その前に教育は動き出していました。
予備校の授業が動画に【東進衛星予備校】
一昔前、大学へ入学するために浪人する人が多くいました。
子供の数も多く、大学の数は今よりも多くはありませんでした。
浪人生は予備校に通い、大学へ進学しました。
大手の予備校は、大教室で大勢の生徒が授業を受けるようなシステムでした。
大学によくある講義形式です。
ある特定の生徒層を想定し、そのターゲットにあった講義を大人数の生徒に対して行っていたわけです。
講師も様々です。
契約制は講師にとって厳しものです。(全て契約制なのかは定かではありませんが)
予備校とすれば、ピラミッドの頂点の生徒が結果を出してくれれば、あとはお金を払ってくれさえすれば経営は成り立ちます。
ピラミッドの頂点をフォーカスし、宣伝を打ちます。
その宣伝を見れば、自分もその結果を出せるかのような感覚になります。
現在、予備校の経営は大変な時代になっています。
もちろん、少子化が大きな原因です。
しかし、もう一つ大きな原因は、予備校のパソコンでの動画視聴形式だと私は思います。
自分の都合の良い時間に、自分の好きなペースで好きな科目を学習できます。
また、動画視聴形式だと一つの科目を集中的に学習することもできます。
得意科目を先取りで学習し、範囲を早く終えてしまうことも可能です。
もちろん、その逆の方法で利用することもできます。
じっくりと自分のペースで学習することができます。
学校ではなかなか難しい「個別最適化」が、予備校では行われているのです。
工業製品やありとあらゆるサービスも同様に個別最適化の時代です。
そして、これが世の中の流れです。
ちょっとしたきっかけで潮目は大きく変わります。
きっかけが「生徒一人につき一台のパソコン整備」になるかもしれません。
通信制高校が増える【N高】
少し前に「N高」の進学実績が話題になりました。
慶應大学に8人、早稲田大学に2人の合格者を出したそうです。
生徒数が多いといえばそれまでですが、私の中ではビッグニュースでした。
在籍数も約1万人。
かなりの人数です。
平成30年の学校基本調査によると、通信制の高校に通う人の割合は約5%です。
通信制高校の生徒数は18万6502人だそうです。
こんなにも多くの高校生が通信制を選択していることに、私は驚きました。
N高は他にも、私にとって多くの驚きがあります。
・教師のリモートワークを導入【働き方改革】
・担任が授業をしない
・オンラインで学ぶ
・入試がない【中学校を卒業しているだけでいい】
など、他にも多くの特色があります。
通信制に自ら選択し、入学する高校生が増えているのは事実です。
高校選択の価値観は変わってきているのかもしれません。
もう、変わっているのかな・・・。
大学がキャンパスを持たない時代【ミネルバ大学】
ちょっと変わったところとしては、キャンパスを持たない大学の存在です。
「ミネルバ大学」はキャンパスを持たず、講義は全てオンラインで行われます。
また、世界各地を転々とし、寮で共同生活を行います。
ハーバード大学やケンブリッジ大学を辞退して入学する学生もいるそうです。
日本でも毎年、何人か入学すると聞きます。
授業は少人数で、オンラインでディスカッションにより学びを行います。
つまり、その授業までに勉強してこなければ、何も得ることができません。
日本の大学とは、随分違いますね。
このスタイルが、すぐ日本に受け入れられるとは考えにくいものがあります。
でも、未来の学校では当たり前になるかもしれません・・・。
「ISAs(所得分配契約)」を採用した学校が開校【LABOT】
「ISAs」を採用した学校も開校されると聞きます。
転職が成功するまで、学費が一切かからないというシステムだそうです。
転職が成功すると一定期間、給料の一定割合(3年間、15%)を学費として支払うのだそうです。
つまり、手元に資金がなくても勉強できるわけです。
年収が320万円以下だと学費は支払わなくてもいいそうです。
様々な条件はあるのでしょう。
しかし、学ぶ側は結果が出なければ授業料を支払う必要はありません。
教える側は、結果を出さないと収入がなくなるわけです。
これは、必死になりますよね。
画期的まモデルです。
大学や専門学校にとっては嫌なニュースです。
私の勤務は義務教育ではない高校です。
人ごとではありません。
隙間時間にスマホを使い、お勉強【スタディサプリ】
私も一時期、興味本位で受講していました。(現在は解約しました)
月額980円からです。
自己研鑽のための投資としては、かなり安いです。
教員免許更新のための講義は30時間で3万円でした。
1時間1,000円です。
教員免許更新と比較すると、一ヶ月どれだけ動画を見ても980円はかなり安いです。
もちろん、オプションを契約していくと金額は上がるでしょう。
それでも、授業料だけ考えると
塾・予備校>通信添削>スタディサプリ
となるでしょう。
かなり安いです。
しかも、自分の好きな時に、好きな場所で、好きなだけ何回でも授業を受けられます。
これなら部活動をやっていても、塾に行かずに勉強できそうです。
「塾に行って勉強しなくちゃね」と母
「部活、やらしてよ!」と子供
両者にとってWin-Winの「スタディサプリ」というわけです。
スタディサプリを一括で申し込んでいる高校もあるようです。
ちなみに、高校生でも中学校や小学校の授業も視聴できます。(少なくとも以前はそうでした。)
自分のつまずいた場所をこっそりと視聴することもできます。
高校生になって友達や先生に対して
「分数の足し算て、どうやるんだっけ」
「濃度の計算方法教えて」
と聞くのは少々抵抗があります。
結構、需要がありそうです。
YouTubeの教育系番組
【中田敦彦のYouTube大学、予備校のノリで学ぶ「大学の数学・物理」
、鈴木貫太郎など】
YouTubeのコンテンツはお笑い系が多かったようです。
しかし、最近は教育系の番組も増えています。
私が知っているところでは、上の【 】の3つです。
中田敦彦さんはお笑い芸人だけあり、話が上手です。
中田さんの動画を見て、自分の知識を確認できたりすることもあります。
でも、それ以上に
「へえ〜、そうだったんだ!」
と、みんな知っていそうで、あまりよく知らないことを解説してくれます。
登録者数が100万人を超えていて、毎日更新されている動画が数十万回再生されているの理解できます。
このチャンネルがきっかけで、勉強好きになった人もいるのではないでしょうか。
残りの「予備校のノリで学ぶ大学の数学・物理」、「鈴木貫太郎」は数学の内容が多くなっています。
数学が専門の私は、嫉妬してしまうチャンネルです。
大学受験を考えている高校生にとっても、大学受験を指導する指導者にとっても勉強になるはずです。
かなり質の高い内容だと思います。
しかも、無料なんです。
驚きしかありません。
このようなコンテンツが増えてくれば、学校や予備校・塾は必要なくなるかもしれません。
今後は更に、このような無料のYouTubeの動画が増えるでしょう。
いや、絶対に増えます。
さあ、問題です。
『学校の教員は、何を教えたら良いのでしょうか?』
最近、私が自問自答している問いです。
授業の質が高いのは?
これまで上げてきた、様々な教育コンテンツは全体の一部でしょう。
そんなに質の高くないものもあるはずです。
しかし、これだけ教育の方法が提示され、結果を出しているものもある中で、既存の学校はこのまま何もしないで良いのでしょうか?
もちろん、私も含め現場では日々、研究・実践を行っています。
それでも、このままではいけない気がします。
これが正しいという絶対解は無いのかもしれません。
だからと言って、立ち止まっているわけにはいかないのです。
あくまで判断をするのは授業を受ける側にあると思います。
その時、授業の質が高いのはどちらかといった問いに対し、選択される状態でありたいと思います。
未来の学校とは
「生徒に一人一台のパソコンを整備すると学校はどうなる?」
というところから、様々な妄想を繰り広げてきました。
現実はそんなんに変化は無いのかもしれませんし、もっと大きいかもしれません。
多くの不確定要素があります。
未来を予測するのは、誰にとっても難しいものです。
その中でも、『5G』が浸透した社会において、教育現場はどのような変容を見せるのか楽しみでもあり、不安でもあります。
ネガティブな心理からはネガティブな結果しか出ないと思います。
未来が予測できなく、不安なところもあります。
しかし、未来をポジティブに受け止め、行動していきたいですね。