教育を学校現場からアップデートする! 〜manabinoheya 〜

変化の激しい時代。子供達の幸せのために、学校現場から教育をアップデートします!

政府はなぜ、高校普通科の抜本改革が必要だと考えるのか

なぜ高校普通科の改革なのか

「高校の普通科を抜本的に改革する」この報道を聞き、「ついに来たか」という思いと「なんで?」という疑問が交錯した。それにしても2021年から導入とはかなり急である。考えた人達にとっては急ではないかもしれないが、高校の現場レベルでは驚き。

 

2019年度の総合的な探求の時間

2020年度の大学入試制度改革

2022年度の新学習指導要領

 

その谷間になぜ?

 

私なりに考察してみました。

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目 次

 

#1 少子化と人口減少社会

2017年の出生数94.6万人、合計特殊出生率1.43人となっている。第一次ベビーブーム時には出生数270万人弱、合計特殊出生率4.32人、第二次ベビーブーム時には出生数209万人、合計特殊出生率2.14人であった事を考えると確実に少子化は進んでいる。

 

これからの出生数は2020年の東京オリンピックの年に83.6万人、2025年の大阪万博の年に78万人、2050年には約56万人と予想されている。少子化といわれる現在のなんと半数である。少子化は進み人口減少が進む。当然労働人口は減ることになる。労働人口が減ればGDPも減り、経済は縮小していく。もちろん縮小する経済に対応する仕組みを作れば良いのであろうが、日本は世界が経験したことのない超高齢化社会に突入している。よって労働人口減少による対応は重要な課題である。

 

 

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#2 高校新卒者の求人倍率

90年代後半には1.3倍ぐらいあった高校新卒者の求人倍率は、2000年に0.62倍を記録した。数年間同じような数字が続いたが、上昇に転じ約1.3倍にまで回復したが、東日本大震災後0.7倍まで落ち込んだ。そして2017年の高校新卒者の求人倍率は2.23倍、進学者の多い都市部の求人倍率は高騰し、東京都では6.93倍、大阪府では3.46倍に達した。このように求人倍率からも働き手不足を読み取ることができる。

#3 働き手不足に対する一手とは

 最近、コンビニエンスストアや外食の現場で外国人の多さを感じる。工場でも同じである。
 
私は進路指導部におり、企業の方が求人票を持ってこられた際、「求める人物像を教えていただけますか?」と私が伺うと「正直に言うと、誰でも来ていただけたらありがたいです。しいて言うなら、弊社は従業員に外国人の方が多くいます。外国人の方ともコミュニケーションをとれる方だと最高ですね。」との事でした。
 
約10年前、就職を希望していても求人票が来ない、来ても1つの求人を複数で争う。そして就職試験を受けられても他校の生徒と競合するという状況であった。たかだか10年前である。
 
時代は変わるものだ。
 
日本に働き手が大幅に不足している
 
だから外国から働き手を受け入れようとしているのだ。

#4 外国人技能実習生(外国人労働者受け入れ)

 今年の4月から外国人技能実習生受け入れの制度が変わる。問題を多く抱えているが、方向性は変わらないと思われる。外国人が増えると、社会保障や教育に対する仕組みを見直す必要が出てくる。言葉や生活習慣は勿論の事であるが健康保険、年金そして教育と解決しなければならない問題が多くある。これらの問題の根本には少子化問題がある。

#5 大学入試制度改革

東京オリンピックが開催される2020年度は大学の新テストが行われる年でもある。オリンピックは盛り上がるであろうが、高校現場は新制度への対応で心から楽しむ余裕があるだろうか。大学改革が進められているが、高校現場では大学の入試制度改革の方がインパクトがある。特に今回の変更は共通一次試験が始まった時以来、約40年ぶりの大きな変化である。未だに詳細が掴めないe-ポートフォリオ英語の外部検定試験利用問題もある。対応しなければならない事が沢山ある。

#6 新学習指導要領

大学入試制度が変わった後の2022年度は、高校で新学習指導要領の運用が年次進行で始まる。また、3ヶ月後の2019年度から総合的な探求の時間が先行実施となる。高校現場ではいわゆる探求の時間を軸に、カリキュラムや学校行事を組むのである。つまり「探求の時間」=「高校の特色」と解釈できる。このように新学習指導要領を中心に高校現場では変革の時期なのである。新学習指導要領と総合的な探求の時間の運用の真っ只中に今回の普通科の抜本改革が出てきたのである。

#7 高校普通科の改革とは 何なのか

日本の就職環境は究極の売り手市場である。そして今後、少子高齢化と人口減少が進むとこの状況は加速する可能性がある。一方でAIにより職業の内容も変化し更に働き方は多様になる。
 
高校新卒で就職する場合、普通科よりも実業系の高校の方が目的がはっきりしている。しかし、普通科は「特色がないのが特色」と言われる。実業系の高校は総合的な探求の時間は課題研究などで代替えできる。つまり、実業系の高校は特色があり、普通科には特色がない。探求の時間を活用したり抜本改革で新学科や専門コースを設置するということは普通科の特色を明確に出させ、実業系の高校のように働き手を養成するための国の施策と見ることができる。そして外国人の労働者は出来るだけ受け入れず自前で養成しようということなのだろう。おそらくこれらの施策は、すでに動き出しているの。
 
現場はこの流れに乗り、向かうべき方向を見定め行動する必要があると考える。
 

 

 

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